著者:Shunya Ohira(Google+)
via French Code
モンサンミッシェルには、数多くの城壁が巡らされている。その城壁に沿うようにして小道が入り組む。ツタが這う歴史の重みを感じさせる城壁を見上げながら小道を散策すると趣のあるひと時が過ごせる。 現在のフランスとイギリスの国境線を決定した争いである戦争百年戦争が勃発した期間には、島全体が英仏海峡に浮かぶ要塞の役目をしていた。モンサンミッシェルの入り口付近には今もイギリス軍が捨てていった大砲とその弾が残っている。
この島はもともとモン・トンブ(墓の山)と呼ばれ先住民のケルト人が信仰する聖地であった。708年、アヴランシュ司教オベールが夢のなかで大天使ミカエルから「この岩山に聖堂を建てよ」とのお告げを再三受け、ここに礼拝堂を作ったのが始まり。966年にはノルマンディー公リシャール1世がベネディクト会の修道院を島に建て、これが増改築を重ねて13世紀にはほぼ現在のような形になった。中世以来、カトリックの聖地として多くの巡礼者を集めている。
モンサンミッシェルの入り口から頂上の修道院まで伸びる一本の大通り。通りの両側には、お土産屋やレストランが軒を連ねる。賑やかな雰囲気を味わいつつ、買い物を楽しむなら、この通りは外せない。
修道院へと向かう道の途中にサン・ピエール教会がある。しかし、これに気付く人は少なく、皆、頂上の修道院まで向かってしまう。11世紀に建てられ、15世紀と16世紀には改修されたサン・ピエール教会はモンサンミッシェルで最初のものとして知られている。この教会の入り口には、守護者としてのジャンヌダルク像が立っている。
光の差し込む庭園を囲むようにして回廊が広がる。回廊に設置されたアーチには、繊細な彫刻が施されている。13世紀につくられたこの回廊は、観光客がゆっくりとした時を過ごす場所としての魅力を兼ね備えている。
満潮のとき、波の前面が垂直の壁のようになって河川をさかのぼる現象のことを潮津波といい、この現象をモンサンミッシェルで見ることができるのは、年に20回ほどしかない。