【実体験】【序章】「ヤギとオムレツと私。そしてモンサンミッシェル。」(フランス)

モンサンミッシェル

窓の外にはのどかな家々の風景が広がっている。レンヌでバスに載ってから1時間程は経過しているだろうか。そこから30分経った頃に、バスは海へと伸びる一本道を走っていた。

 

その先には、「聖ミカエルの山」という意味を持つ、モンサンミッシェルが鎮座している。その姿は、海に浮かぶ聖なる山といったところだ。実際、陸続きにはなっているが、ここサン・マロ湾はヨーロッパで最も塩の満ち引きが激しい場所として知られている。

 

かつては、修道院を含むこの岩山は、満ち潮のときには、そこに続く道が海に沈み、まさに島となっていたのだ。カトリックの巡礼地として、有名だが、ここを訪れて命を失ったものも少なくない。

 

こうして、その姿を目の前にすると、観光地としての雰囲気は拭い去れないものの、大自然の力強さと宗教的な神秘性を同時に感じる。

 

その周りを歩くと、足あとがくっきりと残る程の粘土質であることがわかる。むしろ泥に近い感じだ。そこに薄く草も生えている。やぎがちらほら見えるのも、 それを食料としているからだろう。出来るだけ沖に近いところに行くと、そこに張った水の表面にちょうど逆さ富士のように映るモンサンミッシェルを拝む事が できる。多少、靴が泥で汚れても困った事ではない。道の正面から見るよりも、バスなどが映り込まないという意味でも、はるかによい。

メインストリート

修道院が頂きにそびえ立ち、そこまでは坂道が続いている。道に沿って、土産物屋が立ち並んでいる。観光用の店とは分かっていても、その軒先の頭上に取り付けられたお洒落な看板や建物の外壁、石畳の通りが織りなす雰囲気は格別だ。

 

上へ上がるにつれて、より巡礼地としての様相を呈してくる。石壁にはこけが張る。

頂上の修道院へと伸びる道
頂上の修道院へと伸びる道を振り返って撮影
修道院の外観
頂上にある修道院の外観
頂上付近にある建物の外観

個人的には上の方にある土産物屋の方が好きだ。何か哀愁のようなものを感じる。

 

たしかに、入り口から続くメインストリート沿いの店の方が活気がある。しかし、ものを買うというよりも、その店さえひとつの風景だという観点で考えると、また状況は違ってくるものだ。

 

客は少ない。店の人も暇そうにしている。外に置かれた花のスペースはどことなく古くさい。それでいて、物語をもっているようにも思える。私が見つけた場所だ、とか、このアングルがいいとか、何かを自分だけで独占しているような不思議な満足感さえも溢れてくる。

 

ただ、通りのお土産屋を見て歩き、頂上の修道院を見学して一周するというコース。それも素晴らしい。しかし、さらに、自分だけのポイントを見つけてみるというのも楽しいものだ。

修道院の内部
修道院の内部
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