まず、アメリカが出来た経緯を考えてみましょう。アメリカの始祖はピルグリム・ファーザーズという人々。彼らはピューリタン、キリスト教プロテスタントの一派ということです。宗教的な理由で弾圧されたピューリタンは、アメリカの地に移住しました。そこで、同じ宗教を信じる者たちだけで、理想的な世界をつくろう、ということです。ここで、面白いのが彼らの発想です。「ここ(今で言うアメリカ)こそが私たちの運命の場所だ」と思うわけです。さらに、新天地での成功を強く思い描いているので、その地の意味は余計に大きくなります。
「約束の地」という言葉を聞いたことが、あるでしょうか?そうです、ユダヤ人がパレスチナ人の住んでいた場所を占領した時に使われた、根本的な思想ですね。彼らは、その地域が、自分たちのために与えられた場所であると強く主張しています。何かと似てますね。はい、そういうことです。ユダヤの人々がイスラエルを建国した理由と、新天地としてピューリタンがアメリカに渡った理由は非常に似ているんですね。もし、アメリカがイスラエルの建国を否定した場合、それはアメリカ自身の建国の過程を否定することになってしまうということです。そんな状況なので・・・アメリカは否定的な発言は出来ませんね。
出典は『アメリカの行動原理』です。
◎『アメリカの行動原理』橋爪大三郎