◎この記事は2分ほどで読めちゃいます。
「家の中にカギを置き忘れた・・・」という言葉から、「ドアの日」が始まる。カギを家に忘れたまま、ドアをロックしてしまった。ドアを閉める前に、内側についているボタンを押して、ドアを閉めるとロックがかかる仕組みを使うことによって起きる、典型的な悲劇だ。どこにカギを置き忘れたのか確認するために窓のわずかな隙間から中をのぞき込むと・・・窓から5mほどのところにあるテーブルの上に、ヤツがいる。カギだ。窓のつくりは日本と違っていて、複数枚のガラスを並べた窓になっている。なので、必然的にわずかな隙間ができる。幸いなことに隣の家は工事をしている。なぜ、幸いなのかというと、そこには有り余る程の鉄筋があるからだ。
そこには、これまた幸いに針金が落ちている。お隣さんから借りた鉄筋の先に針金を巻き付けて先端をフック状にする。そして、それを窓から差し込む。長さ10mはある鉄筋を窓から突き刺す日本人を見る人々で、辺りは賑わっている。5分ほど経過し、観客の応援も最高潮に達したとき、見事カギは、針金にひっかかった。それを慎重にたぐり寄せる間の、観客の沈黙は、まるで、そこにいるのが私ひとりだけであるかのような気持ちにさせる。そして、見事カギは手元に帰って来た。その時、そこにいた人々は一体になった。みんなで、カギの生還を祝った。日本からやってきたよそ者の、単純なミスから始まった、ドアを開ける挑戦を応援してくれる温かな人々。素晴らしき午前8時。
しかし、恐ろしきドアの日は、こんなものでは終らない・・・。