道を歩いていると、人々の目線を感じる。というのも、道の脇に座っている人がこちらを見ているからだ。これは、ガーナに限ったことではないが、通りの脇に、人々が座り込んでいる光景をよく目にする。一体、何をしているのだろうか?
近くに座って観察してみる。すると、彼ら、彼女らは、ひたすらにしゃべり込んでいる。特に、おじさんやおばさんにこの傾向がある。とにかく、おしゃべりを楽しんでいる。おばさんの横に大抵あるのが、商品。お菓子やちょっとした食べ物をカートにのせたものを横に置いている。おしゃべりを楽しみつつ、お客さんが来れば、売りましょう、という具合だ。働いて、働いて、稼いだお金で休日を楽しむという日本によくあるタイプとは正反対。楽しくおしゃべりしていて、そのついでに稼げればよい、というスタンスだろうか。非常に興味深い生き方。
おじさん、おばさんだけではなく、若者が座り込んでいる様子もよく目にする。20代〜30代と思しき人々が複数人で集まって、座っている。地面に座る人や、壁の縁に腰掛ける人。一体、何をしているのだろうか?またしても、好奇心にかられ、観察してみることにした。彼らの口数は少ない。ぼーっと通りを眺めている。私は運良く、その人々と話すことができた。私がじっと見つめていると、向こうから話しかけてきたのだ。聞くと、仕事が無いという。仕事が無くて、やることが無いから、ずっと座っているのだとか。仕事を手に入れづらいのは事実である。中国の建設会社が、労働力も中国から連れてきたせいで、自分たちの働く場所が無くなっているという声も、ガーナでは何度も聞いている。
とはいえ、仕事がありながら、昼間から通り沿いで簡単なイスとテーブルを出し、ビールを飲む人もいる。彼らは仕事が無いから、なす術無く、座っているのとは訳が違う。ビールを購入するだけのお金を稼ぎ、休憩の時間も充分に持ち、余暇を楽しんでいる。通りに座る人々の中でも、生活スタイルが、きれいに異なっている。ただ、「昼間から道の脇に座っていて、何もしていない人々だな」と思うのを、一歩越えた部分で理解を深めていきたい。