旅は人に多くを与える。
特に、一人旅は、人に深みを与える。
一人旅を愛する全ての人。
さらに、一人旅を始めたいという人。
一人旅を“しなければならない”8つの理由を、どうぞ。
一人で旅をすると、日程の調整に全く手間がかからない。出発前には、自分の手帳を確認して、空いている日に出発すればいいだけ。旅先で、急に予定を変更したくなっても、誰かに許可を求める必要はない。
始めて訪れた異国の地を歩いていると、何もかもが新鮮だ。ふと、通り過ぎようとしたところにある路地。この奥はどうなっているのだろうか。その先に入らないと気が済まない。こんな時に、細かなスケジュールを組むガイドさんがいたら、せっかくのチャンスを台無しにすることになってしまう。
『パリに行ったら、エッフェル塔は絶対見たい!』、『ローマと言ったら、トレビの泉でしょう!』。これくらいなら、共感する人はいくらでもいるだろう。もちろん有名な観光地を巡る旅をするのも楽しい。しかし、一人旅では、もっと楽しい、マイナーな、共感しづらい観光をすることができる。
誰も行かないような、ガイドブックにも載っていないような場所を探して歩き回る。観光の域を越えることだってできる。例えば、旅の目標を一つ決めてしまえばいい。行く先々の国で、バーを巡り、そこの店主と話す!とか、本には載っていない穴場なレストランを路地裏で探す!でもいい。
一人旅をしていると、今の自分がよくわかる。例えば、空港から市内まで移動する時、どのバスに乗ればいいのか。もしくは、電車がいいのか。これが、ガイドブックに書いていない。さあ、そんな時どうするのか?そこら辺に立っている人に話しかけるのか。話しかけるならば、どの人を選ぶのか。何語で話しかけるのか。このような小さな事でも、全て、あなたそのものの能力が結果として現れる。
人に話しかける勇気がないなら、それはそれで構わない。一人になったら話しかけることができない自分を知る事が大切だ。
逆に、海外で一人旅をする中で、新たな自分を発見できるパターンもある。追い込まれて、どうしようもなくて、そんな時に自分の殻を破ることができるのかもしれない。
日本にいるだけでは、出会える人の数が少な過ぎる。日本人全員に会って比較したことは、まだないが・・・これだけは言える。国境や大陸、文化を飛び越えれば飛び越える程、新たな価値観に遭遇する確率が高まる。
今まで当たり前だと思っていたことが通じない。説明を求められる。始めての説明なので、上手く出来ない。この経験を通して、身近な事柄を深く理解することができる。
さらに、価値観と価値観がぶつかって、新たなひらめきを生む事だってある。日本の田舎に伝わる“おばあちゃんの知恵袋”とアフリカの民族が信仰する精霊が融合したっていい。世界中の誰も気づいていないような発見が自分の目の前に降りてくるかもしれないと思ったら、居ても立ってもいられない。
一人旅は時間の効率化にもつながる。時間をどのように使うかは、全てあなた次第。何をしたいのか決まっているなら、間違いなく一人旅がいいだろう。実際、やりたい事は、旅の中で修正されていくものなので、その時には、違う方向に歩けばいいだけだ。
時間の効率化は時に、時間を取捨することも意味する。本当に今やるべき事は何で、何が必要ないのか。今までは、必要ないのに続けていたこと。それの意味を問い直す機会も増えるだろう。
というのも、旅は、通常限られた時間の中で展開される。期限がある。明日には、この町を後にしなくてはならない。それならば、今日の内に、この場所は訪れておこう。このような感情が芽生えてくるものだ。
一人旅をすると、今の時間を使っているのは、自分自身なのだと感じることが多々ある。それどころか、常に感じる。だからこそ、今できることをやっておこうというモチベーションが生じる。
一人で旅をするということは、少々大げさに言ってしまえば、一人で生活をするということ。もし、ホテルに泊まるなら、ホテルの建物に守ってもらうことにもなるし、受付の人のサービスを受けることにもなる。
しかし、どのホテルを選び、どこで食事をとり、どのルートで旅をするか。これは、全てあなた自身が決めること。インドで、どのような水を飲むか。これを誤ると、数日間はお腹を壊すことになる。モスクワでどのホテルに泊まるか。安くても人気で居心地のよい場所もあれば、高いだけで汚い場所もある。南アフリカで、何時に外出をするのか。ヨハネスブルグを夜中に歩けば、まず誰かに襲われるだろう。全てが自分の判断というわけだ。
これを、生活の力と言わずして、なんと呼ぶのか。頭の中の知識が役に立つことがある。例えば、その国の言語を使えるかどうかで、得られる情報の量が変わる。直感が運命を左右することもある。走りだそうとしているバスに乗るのか乗らないのか。
日本にいて、同じ道を行ったり来たりするだけの毎日では使っていないスキルを、使わざるを得なくなる。今いる場所で働くことで、得られる経験も、もちろん素晴らしいが、種類が全く違っている。
一人で旅をしていると、自分の力の足りなさに気づく。できると思っていた小さな事が出来なくなったりするものだ。そんな時にどうするのか。素直に助けを求めればいい。人は、“一人の旅人”に対して、非常に親切になる。不思議なことに、どの国に行っても例外は感じない。
実際、自分が一人でいることで、「助けを求めることに躊躇がなくなっている」のも事実だろう。これが、“親切”に出会う機会を増やしているのかもしれない。
いずれにせよ、一人で旅をしている時に助けてもらうと、その時の感動は想像を絶する。『この人に、一生、恩がえしをし続けよう』とさえ、思えることもある。本当だ。アフリカのリベリアで泊まる場所が無くて、知り合った人に家に泊めてもらった時には、その人を家族のように思った。
このように、小さな手助けに出会える機会も増える。そして、それに気づく心も持てるようになるのかもしれない。
一人で旅をすると好奇心が、どんどんと湧いてくる。自分でも訳が分からないほどの好奇心だ。特に、二回目、三回目と旅に慣れることによって、好奇心も膨らんでいく。この道を行ったら、次はこっちにしよう。これができたなら、こっちも出来そうだな。と、どんどんエスカレートしていく。
例えば、『プランを変更して、もうちょっとこっちに行ってみようかな』と思ったら、それは好奇心が急激に増大している合図かもしれない。このように、好奇心によってプランを変更する時のワクワクは、他では、感じることができないだろう。
また、この好奇心は、ある種の自信から来ている。好奇心のままに(もちろん安全には気をつけて)動いていると、自信を持つ訓練にもなる。旅を終えて、成長するような気がしたら、これがその理由かもしれない。