Jailbreak(ジェイルブレイク)は日本語にすると、“脱獄”。
脱獄と言っても、今回の内容は、刑務所からの脱走ではなく、システムからの脱出ということになる。
脱獄:“ユーザー権限に制限を設けているコンピュータ(携帯電話やゲーム機など)に対して、セキュリティホールを突くなどしてその制限を取り除き、開発者が意図しない方法でソフトウェアを動作できるようにすること。”(Wikipedia)
つまり、あるコンピュータに備わっている制限を無くして、使用できる範囲を増やす行為のこと。
このジェイルブレイクに関して、興味深い事態が起きている。(参考:The Washington Post)
それが、iPhoneをジェイルブレイクするというキャンペーン。これを聞くと、ただ単にiPhoneを改造して、カスタマイズする、というイメージを持つ人もいるかもしれないが、そんな単純な話題ではない。
ここで大事なポイントが、“iPhoneを使いこなしづらい、なんらかの障害を持つ人々”の存在。彼らこそ、ジェイルブレイクを必要としている。
そもそもAppleは、アプリの開発者に対して一定の規則を定めている。その基準を満たさない限り、そのアプリを公開し、世界に広めることは出来ない。
質の高いアプリのみがiPhoneユーザーの元に届くように配慮されたこの規則だが、一方では、“不便性”を生んでいるという指摘も。
先に話したジェイルブレイクのキャンペーン。これを強く指示する、障害を持つ人々によると、“Appleの厳しい規則は、彼らがiPhoneを使いこなすことを困難にしている”とのこと。
シュタルガルト病(目の中央部分の視力が徐々に失われていく病気)を抱えるChris Maury氏はiPhoneユーザーの一人だ。
彼が気にいっている第三者機関が開発するアプリはApp Storeでの販売が許可されていない。そこで彼は、iOS7(iOS7向けのジェイルブレイクは完成していない)対応のジェイルブレイクのシステムを構築した者に報酬を与えるというcrowed-funding campaignの組織を支援した。(←同URLからは、現在寄せられたファンドの金額を確認することができる。2013年12月17日現在:$9971)
f.luxというアプリは、画面の色彩を調節することができ、目にかかる負担を下げることができる。しかし、このアプリは、公式ストアから手に入れることができない。これを使うために、彼はジェイルブレイクをするしかない。
一方で、このiPhoneをジェイルブレイクするキャンペーンは、アメリカ合衆国の法律を觝触する可能性も懸念されているので、慎重さが求められる。
障害を持つ人々とApple、双方が満足のいく結果を導き出すのは困難と思える状況だけに、今後の展開からは目が離せない。