著者:Shunya Ohira(Google+)
【INTRODUCTION】
アフリカ北部のイスラム国家、モロッコ王国。
大西洋、地中海、イスラム教、さらには南部ヨーロッパの雰囲気が混ざり合う国。
観光地としての名声も高く、日本人からの人気も急上昇している昨今。
まだモロッコを訪れたことのない人も、一度訪れたけど、思い返してみたいという人も、
モロッコの観光地7選をお楽しみ下さい!
モロッコ北部の内陸都市フェズは、歴史的な旧市街を持つ下町のような都市として知られている。入り組んだ、メディナと呼ばれる市街地はまるで迷路のようで、初めてそこを訪れた人は、まず間違いなく方向感覚を失うことになる。
通路の多くはかなり細く、行き交う人々の肩が接触しそうになるほど。この狭い道を、ものを運ぶロバや荷車が通行し、混雑とも活気とも言えるフェズ独特の空気をつくっている。
通りの脇に出ている商店では、平べったい形のモロッコパンが、豆のスープとともに売られている。香辛料や湯気が漂う小道を散策せずして、フェズを楽しむことはできない。
フェズに来たら必ず見たいのが、メディナの奥深くにある、皮の染色が行われている野外作業場。半ズボンの作業着に身を包んだ男たちが汗水垂らしながら、皮染めに従事している。円形につくられたいくつもの容器には、赤や黒、茶色などの染料が溜められており、ここに皮を浸しながら色をつけていく。染料は、自然のものから抽出されている。皮をなめして質のよいものに仕上げるために、なんと牛の尿が使用されている。
この伝統的な製法は、中世から変わらずにフェズの職人によって受け継がれている。その他にも、着色料をきれいに馴染ませるための洗浄を行うための場所や、皮をなめす作業場もある。
このようにしてつくられた革製のスリッパはお土産として人気が高い。
マラケシュはモロッコの中央に位置し、王宮や宮殿も置かれているモロッコ第三の大都市。マラケシュの町は新市街と旧市街に大きく分かれており、世界遺産にも登録されている旧市街の規模は、北アフリカでも最大級のものとなっている。
観光地としても高い人気を誇っており、マラケシュ旧市街のシンボル、ジャマエルフナ広場では、昼間には大道芸、夜には屋台を楽しむことができる。日が暮れるにつれて、次々と夕食を提供する屋台が現れ、そこを訪れる観光客でごった返す。
数ある屋台の中から、好みの夕飯メニューを探して歩き回るのも、この広場の醍醐味。
タンジェは、モロッコ北部のジブラルタル海峡に面した港町で、スペインとの間を結ぶフェリーが頻繁に往来している。モロッコがもともとフランスの植民地であったことからフランス語が通じるという事実に加え、スペインとの関係も深いことからスペイン語も使用されている興味深い都市。
港町特有の塩の香りが漂い、ヨーロッパからの影響を強く受けた建築物とイスラム文化が不思議と調和している。交通の主要地としての存在価値に加え、近年ではリゾート地としての人気も高まっており、世界の著名人の所有する別荘が増えている。
タンジェでイスラム文化とリゾートの雰囲気を楽しみ、そこからフェリーでスペインへ向かうという旅程がおすすめ。
シャウエン(またはシェフシャウエン)はモロッコ北西部タンジェから少し内陸に入ったところにある都市で、鮮やかな青に染まった建物や景観が特にヨーロッパの人々からの人気を博しており、200ものホテルがひしめき合っている。
この町の上部にある山脈は、二つの角のような形をしており、シェフシャウエン("Chef Chaouen")という名前は、「角」という意味のベルベル人の言葉を由来としている。
他のモロッコの都市では手に入れることの出来ない、シャウエン限定の手作りブランケットなどが売られており、ショッピングを目当てに訪れる人も多い。この地域は、大規模な大麻の栽培地域としても知られている。
アフリカの北部を横切るようにモロッコからチュニジアにかけて東西2.400kmに広がるのがアトラス山脈。モロッコに属するアトラス山脈の東部に位置しているのがトドラ渓谷で、40kmにも渡って、くりぬかれたような断崖絶壁の谷が続いている。
もともと、ここにはデイズ川が流れており、それがアトラス山脈を削った。その後に川は干上がり、残された景観が現在のトドラ渓谷となっている。
その姿は、まるで神話に出てくるような壮大な光景で、ぜひとも訪れて体感したい。ハイキングをするための舗装された道もあるので、観光客のアクセスもよい。時には、この地に住む人々がロバを連れて歩く姿を目にすることもできる。
アトラス山脈にある小さな村、ティンマル。そこから丘を上ったところにあるのが、ティンマルモスク。
険しい山に囲まれた、このティンマルモスクは現在、閉鎖されており、内部に入ることはできない。一部の補修が行われており、将来的には開放されることが期待されている。
一般の人が立ち入ることが出来ないという意味で観光地化しておらず、一部の旅慣れた人の間では話題となっている。アクセス可能になった際には、左右対称につくられた美しい門が連なる内部の様子は、ぜひともその目で確認してほしい。
イミルシルは、アトラス山脈の標高2119mという高所に位置する、モロッコ中央部の小さな町。この地域は、複数の小さな村が点在することで形成されている。
この地を世界に知らしめているのが、イミルシルの婚約祭り。
父親は自分の娘を祭りに連れて行き、お似合いの夫候補を探す。女性が男性からのプロポーズを受け入れると、婚約が成立する。祭りの日に成約する結婚の数は多いときでは、40にも上る。この祭りは、音楽や踊り、色鮮やかな衣装や大勢の人々で彩られるので、観光客からの人気も高い。
イミルシルの婚約祭りの背景には、現地に伝わるこのような言い伝えがある。
異なる村で暮らす男女同士が恋に落ちた。しかし、彼らは家族によって、出会うことを禁止されてしまう。悲しみに暮れた彼らは泣きに泣いて、死に至ってしまっ た。その涙は、イミルシルの地に貯まり、二つの湖に。その後、両家族は、年に一度だけ異なる村からの男女が婚約することが許される日をつくった。これが、現在のイミルシルの婚約祭りになり、現在に伝わっている。